オピニオンリーダーからのメッセージ
   
株式会社イッセイミヤケ
代表取締役社長 太田 伸之
1977年明治大学経営学部卒業後渡米、1985年東京ファッションデザイナー協議会設立のために帰国、東京コレクションの組織化、流通業やデザイナーへのコンサルティング、人材育成を行う。1995年同議長を退任、百貨店の松屋シンクタンク部門の東京生活研究所長に就任、店舗の大リニューアルなどに従事。2000年(株)イッセイミヤケ社長に就任。2006年よりジャパン・ファッション・ウイーク実行委員。
デザインの力で世界へ

 設立20周年、おめでとうございます。
名古屋から程近い地で生まれ育った私には特別の思いがあり、人材育成事業でずっとお手伝いしてきました。

 現在、内閣官房コンテンツ委員会の委員をさせていただいておりますが、ここで他分野の専門家の方々と交わる中で思いを強くしていることがあります。日本はもっとソフトウエア価値を認識し、グローバルな視点をもっと持つべきではないか、と。

 産業界では「製品」や「製造」の議論はされてきましたが、「デザイン」や「創造」については軽視され、その振興策はほとんど議論されてきませんでした。有形のものにはできても無形のものには価値判断がつかず、「特別なもの」として議論の枠から外されてきたように思います。

 また、日本国内そのものが豊かな市場であったがため、世界市場に目を向けなくてもほどほどに食え、果敢に世界を攻める企業が多くはなかったのも事実です。イタリアは現在世界トップレベルの生産拠点、発信拠点のポジションを得ていますが、それはデザインの価値をしっかり認める風土、そして小さな国内市場ゆえ世界に出て行かざるをえなかったからでしょう。

 いま世界の企業はこの豊かな日本にダイレクトに進出して市場シェアを急速に高め、銀座、青山の一等地は海外ブランドの寡占化が進み、日本は国内ですらほどほどに食えない状況になりつつあります。伝統的技術力を背景に、デザインの力で世界に本気で立ち向かわないと、日本が国内でさえ守れません。

 ものづくり拠点に近い名古屋で、地元産業界がデザインの価値を受け止め、内外のデザイナーとの実験的協業の中からユニークで力強いコンテンツが商品化され、世界市場を視野に入れたビジネスモデルが生まれることを期待しております。