ナゴヤファッションコンテスト受賞者から
   
第16回グランプリ受賞
深谷 秀隆
1974年10月18日愛知県東海市に生まれる。1993年 高校卒業後、名古屋モード学園入学。1994年 在学中より名古屋のシューズメーカー松田繁太郎氏に師事し、靴作りの基本を学ぶ。1997年 名古屋モード学園を首席で卒業。「クリエイター・オブ・ザ・イヤー」を受賞。上京し、「Kensho Abe」ブランドのデザイナーを務める。
1998年 デザイナーを辞め、靴作りを学ぶためイタリアに渡る。シエナのアレッサンドロ・ステッラ氏に師事。1999年 フィレンツェに移り、ブランド「il micio」を立ち上げ、自らの靴作りをスタートさせる。2003年 この年よりフィレンツェの老舗セレクトショップ「Tie Your Tie」のシューズデザインを手がける。2005年 念願であった自らのショップをオープンさせる。2006年 この年よりセレクトショップ[TOMORROWLAND]とのコラボレ―ションとしてプレタシューズのデザインをてがける。2007年 NHKドキュメント『ファーストジャパニーズ』に出演
転機となった出会い・出来事
モード学園2年生、洋服作りもある程度のレベルまで達した頃、「どうせだったら誰にもできないことをやらなければ」と思いはじめた。そこで昔から好きだった革という素材を使い、靴という造形物を作ることを思いつく。当時ハンドメイドの靴作りを志す若者はほとんどいなかった。名古屋にある靴メーカーを廻って修行させてくれる職人を探したが、受け入れてくれるところはなかった。その時一人だけ真剣に私の話を聴いてくれたのが、後に親方となる松田繁太郎氏だった。親方からは靴づくりはもちろんのこと、職人として、人間としてどうあるべきかを教えて頂き、息子のように可愛がっていただいた。「一人前の職人」になるということは、技術だけでなく人間としての芯がしっかりしていなければならないということに気付かされた。後のイタリアでのつらい修行を耐える事ができたのも、今職人としての私があるのも親方の御陰です。

ブランドのコンセプト

il micio
『イル・ミーチョ』とはイタリア語で"子猫"を意味する。
『イル・ミーチョ』は完全オーダーメード制で、採寸から仕上げまですべての工程を手作業でおこなっている。顧客一人一人に合わせて丹念に作られたその靴は、まさに世界に一つしかない一点ものである。足に吸い付くようなフィット感と、しなやかで美しいライン、エレガントでセクシーなデザイン、蠱惑的な雰囲気を持つ。修業時代から現在まで常に彼の頭を占めてきたのは『世界一美しい靴を作ること』である。『世界一美しい靴』とはデザイン・バランス・それを支える確かな技術、そして何よりもそれを履く人に大きな喜びをもたらす靴である。

最近の創作活動

私が靴づくりにおいて、常に心がけていることは伝統・技術を守りながらも、新しいアイデア・オリジナリティーを出すことである。最近試みたのは、日本の伝統工芸「絞り染め」を靴のアッパーレザーに施すことである。「絞り染め」職人でいらっしゃる早川高弘氏にご協力頂き「あらし絞り」という技法で皮革に波形の絞りを入れてみた。絞りにしか出せない独特の模様が美しく、流線型のラインを持つ私の靴にマッチしていると思う。日本の伝統工芸とヨーロッパの製靴技術の新しいコラボレーションである。