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ナゴヤファッションコンテスト過去受賞者へのインタビューVol. 13

「ナゴヤファッションコンテスト2015」グランプリ・「2014」ゴールド賞受賞 赤羽健さん

「ナゴヤファッションコンテスト2015」グランプリ、「2014」ゴールド賞を受賞し、現在はファッションブランド会社でデザイナーとして活躍されている赤羽 健さんにお話を伺いました。

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今のお仕事はなんですか

バッグや靴、帽子、皮小物などの小物を担当しています。最初はTシャツやパーカーなどのカットソーのアイテムを1年、それから柄を作るグラフィックを1年ほど経験し、今は小物で1年くらい経ちます。1年ごとに部署を異動して色々学んでいるところです。自分は洋服を学んでいたので洋服を担当したいという気持ちはあります。

扱う量としては多くないですが、一個ずつ丁寧に作っていて、柄が全アイテムに入るので、この商品にはこの柄が合うなどを考えてデザインしています。

今の会社を選んだ経緯は

学校の最後の年にコンテストに何点か通って、年末くらいまで制作していました。たまたま11月末くらいに募集があって、採用されました。

今働いているブランドはこれというテーマがあって、その中で色々作っているので、ぶれないブランド力は魅力に感じています。

この道を志したきっかけは

きっかけは特に無くて、ファッションが特別好きとかはありませんでした。高校卒業後、何をやろうかと考えていたフリーター生活が2年くらいあったのですが、高校時代に木工が好きだったり、香水のボトルのデザインをしたり、なにか形になるものが好きだというのは自分で感じていました。そこで名古屋モード学園に相談して入学を決めました。だからこの分野がというのはなくて、ファッションの知識もブランドの名前くらいしかありませんでした。

とりあえず専門学校の1~2年は黙々と授業を受けていました。ファッションにのめり込むというか、「着ることが好き」からは入っていないので、こういうデザインがあったらいいなと思って作っていました。

もともとものづくりに関心があって、それがたまたまファッションに辿り着いた?

そうですね。

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ナゴヤファッションコンテスト2014
ゴールド賞

専門学校に入ってからファッションの勉強を始めて、その4年後にグランプリをとるなどしていますが、在学中は努力をされましたか

多分クラスの中では努力をしていたとは思います。学校の課題や出席が厳しく、毎回出さないと留年などになったりするので、そうならないようにそれなりに楽しくやっていました。特に優等生でもなく、評価がすごく高いわけでもありませんでしたが、でも一個一個ちゃんとやってはいました。

コンテストに出すときには自信などはありましたか

自信はなかったですね。4年生には学校内だけではなくて工場にも行ったりしました。レザーカットを使用しましたが、うまく切れる機械を使うために滋賀県まで電車で行ったりしていたので、結構忙しかったです。手作業で学校の課題もやりつつなので、忙しいときは週の半分は寝られない日があったりしました。

ナゴヤファッションコンテストでは2年連続で受賞していますが、率直な感想は

制作者がいろいろな所から参加しているので、他のコンテストと違って洋服っぽくない装飾的なものが多いと思いました。他の学生達も、ドレスじゃないけどそんな感覚で作っている人が多いです。ビーズをつけたりプリントをいっぱいしたりプリーツをかけたり、いろいろ装飾的なことをやっていて、自分の作品は大丈夫かなって最初は思いました。

ナゴヤファッションコンテストは制作の条件が特にありませんが、そのあたりは赤羽さんにとって良かったですか

正直なところ、デザイン画はなんとなくイメージで描いて、作り方は後から考えました。そういった意味では自由なのはよかったです。デザイン画は苦手なのですが、「こういうのがいいな」ってなんとなく出して、デザイン画が通ってから練りました。

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ナゴヤファッションコンテスト2015
グランプリ

これまでやってきた中で印象的だったこと、大変だったことは

振り返ってみると楽しかったです。自分がこういうものを作りたいということに対して、時間を与えられ自由に作れるのが楽しいと思っています。大変でしたが、自分がやりたいことを直球でやれたので、大変とか苦しいとかはあまりありませんでした。

徹夜などは大変だったけど、自分が作りたいものを作って良いものができたり、良いものを作るためにやっているのだから、むしろ楽しいというか嬉しいというか、ということですかね。それは今も同じですか

今はまたちょっと違います。ブランドのイメージに沿ったものをデザインしないといけないし、デザインしすぎもだめですし、普通に売れる服を作るっていうしばりもあります。突拍子のないものが一個あるのではなく、全体的に普通に着られるっていう。誰でも着られる服を作るというのも仕事ですから。あとは自分の個性っていうか、そういうのを出した何かをやりたいですね。

将来的には自分のブランドなども?

そうですね。

今のブランドは広く着られるような方向ですか

今のブランドは尖っていて、着る人を選ぶっていうか、基本的に細身で、ファストファッションの感覚ではないですね。服に柄を単に当てはめるのではなく、スタッズや刺繍を派手にしたりする表現もしています。基本的にはロックがベースで、時代を感じさせるものを作ることが多いです。カルチャーやビンテージを参考に作っているものが多いです。

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ナゴヤファッションコンテスト2015
グランプリ

今後どういったものを作っていけたらいいと思いますか

専門学校時代に服に限らず、立体的なもの、建築やダイナミックなイメージが好きでした。海外の画像とかを見たりして作っていましたが、そのような立体的なものを洋服で表現するのは難しいです。建築の表現を洋服に落とし込んでも、技術力は高いかもしれないけど「だから何がしたいの?」という話になってしまうところがあります。

でもカジュアルなものを作り始めて、カジュアルの良さがわかって好きになってきました。カジュアルの洋服の中で自分らしいダイナミックさではないですけど、そういったものを作りたいです。

いつも自分がやりたいと思っているのは、ぱっと見たときに「なにこれ?」「ここにこれがあるのがすごくかわいい」「これどうなっているんだろ?」というような、ちょっと驚きのある洋服を作ることです。

服以外でも好きなものが色々あります。そういうものを総合して、自分がやりたいことを探す時でもあるのかなと。

今後の若手の方々に対してアドバイスを

そのようなことを言える立場ではないですが、自分は色々な物を見るときにネガティブ思考から入るときがあります。かわいいよねって言われたことに対して「もうちょっとこうしたらかわいいのかな」「自分はかわいいとは思わない」ということを思ったりします。みんながかわいい、かっこいいと言うものがどうしてそうなのか、それは形なのか装飾なのか。共感してもいいですが、別にそう思わなかったら思わないでいいという、自分の意思や感性のようなものが大切ではないかと思います。

ここをこう変えたらいいとか、分析したり違う案を考えたりしますか

それはありますね。ちょっとしたことで、これをこうしたらよくなるのではないかと考えたりはします。

伝えたいことは「個性が大事」くらいしかないのですが、何事も方向性はひとつじゃないと思います。全然知らないことがいっぱいあるので、その道の知識人のような人の話を聞いたりすると、意外と自分が知らないことでものめり込みます。音楽でも、名前しか知らないバンドの音楽を実際に聞くとイメージと全然違っていて、そこから自分の好きな音楽が広がっていき、それがデザインに反映されていくというような。まだ発展途上ですが、そういったことが重要だと思います。

ファッション以外でも、興味を持ったものがあればそれを深めていくということですね

ファッション以外でも、足を突っ込めば意外と面白いものがあります。インテリアとか昔のポスターとか、すごく考えられて作っていると思います。今では当たり前のようにパソコンでポスターをデザインしていますが、昔は手作業でロゴを切り貼りしていて、それでも貼る位置とか文字のバランスとかが完璧だったりします。その感覚で洋服にプリントするなどもできます。学んでいけばもっと感覚的に良いものができるのではないかと思います。