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ファッションとエコを考える  Part1. 販売におけるエコと『下取り』

エコに関する記事を新聞や雑誌で目にしない日がないほど、環境に対する関心は高まりを見せていますが、今回は、ファッション業界の販売部門におけるエコへの取り組みに目を向け、このところ話題になっているファッションの『下取り』をクローズアップしてみました。

販売店にとっては消費喚起や集客効果が期待でき、消費者にとっても不要品の整理と安く買換えができるという、ありがたい企画ですが、実施にあたって社内ではスムーズにコンセンサスを得られたのでしょうか。実際の消費者の反応や、今後の実施予定などについても伺ってみました。

ゴールデンウィーク中に催事場で紳士スーツリサイクル回収キャンペーンを行い900着を回収した松坂屋 名古屋店では、『下取り』企画を行うにあたり、「環境への取り組みという観点から、取扱いはリサイクルできるものに限ろうという意見で一致していた」そうです。また「回収したものは業者を通じて車の断熱材やフェルト地、タイヤの原料などにリサイクルしているが、将来的にはリユースも考えている。今後は、浴衣や水着の下取り企画も予定している。息の長い環境に配慮した取組みとして続けていきたい」(株式会社 松坂屋 名古屋店 営業推進部 宇佐美氏)とおっしゃっていました。

名鉄百貨店 本店では、「これまでも環境への取り組みはしているが、『下取り』については後発組なので、エコという切り口で環境への取り組みに貢献できる方法でやろう、とまとまっていた。紳士・婦人服では回収した品物は業者を通じて再生資源としてリサイクルしている。靴などやむを得ず焼却しているものについては、下取り1点につき10円を、自然保護団体に寄付しているが、今後は再利用できる仕組みも考えたい」(株式会社 名鉄百貨店 本店 営業政策部 田中氏)、「捨てずにすんでありがたいと言って、開催中二度も足を運んでいただいた方もある」(回収受付カウンター担当者)と利用者にも好評だったようで、今後は呉服催事でもリサイクル企画を行うそうです。


「新聞に取り上げられたのは最近だが、すでに2月頃から、エコに取組むのであれば流通の部分でと考えており、4月から下取りの企画を始めた。当初は反対も多く店舗を限定して始めたが、取り組みが新聞で紹介され、自分たちから参加すると言う店舗も出てきた」とおっしゃるのは、レディースファッションアパレルの企画・製造・卸売を手がける株式会社 二葉の丹羽社長。回収した商品は独自のルートを使って、リユースしているそうです。 「自社ブランドに限っての下取りなので、お客様が意外に長く商品を着ていただいていることがわかったり、売場スタッフとのコミュニケーションが心地よく、気に入って何度も足を運ぶ度につい買い過ぎてしまった、というシニア層のお話が聞けた」など他の効果もあったそうで、「今後もシーズン毎に年4回程度開催したい」とおっしゃっていました。

長引く不況の中、来客数増加を望む販売店と、少しでもお値打ちに買いたい消費者を、エコという切り口で結びつけた『下取り』企画。販売店としては実質割引販売でもあり、リサイクル又はリユースのコストもかかっているため、取材させていただいた三社とも、環境への取り組みの1つとして考えているとの事でした。

エコ意識の高まりの中で、消費者に好評なこの企画がさらに継続発展し、環境にやさしい活動の普及へと広がってほしいと思います。

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松坂屋名古屋店   名鉄百貨店本店

次回は、ファッションの『素材』で考えるエコについて、取材します。