【開催データ】
開催日時:2008年3月27日(木)13:00〜16:30
会場:デザインホール
名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク・デザインセンタービル3F
講師:藤岡篤子 氏(ファッション・ジャーナリスト)
受講者数:334名 |
フォルムを重要視したボリューム感とテクスチャーが特徴。
ワントーンカラーやセットアップにフォークロア・ゴシックのエッセンスを効かせるのがトレンド。
日本のアパレルマーケットに大きな影響を与えるヨーロッパコレクション。的確な分析と最新のデザイナー情報が評判の藤岡篤子氏のセミナーとあって、今回も会場は満員となりました。
冒頭で「前シーズンはミラノ・パリともアート一辺倒だったが、この秋はリアル・クローズが戻ってきた」「ミラノは正統派英国調、パリは50年代オートクチュールからアイデアをとったコンサバティブなファッションが基本。これをどうカッコ良く着られるかをデザイナーが探っている」と大勢を分析。そのうえで、「この秋はデザイン性よりも素材・ディテールが大切。テクスチャーの凹凸感やフォルムを重要視している」と大きな流れを述べられました。
今年の特徴は「フォルムの重要視」。背中や腰・胸など、どこでボリュームを表現するかがポイントだそうです。さらに「テクスチャーの持つ力が全体を新しく見せている」「シルエットを際立たせるためのトータルカラー配色も重要。全体が洗練され抑制された雰囲気のワントーンカラーコーディネートが多い」「スパンコールやスーパーコラージュなどこんもりした立体感も特徴的」と分析されました。
細かなトレンド別傾向の分析はカラーからスタート。ショーのインビテーションカードの紹介にはじまり、それぞれのコレクションの作品を見ながら詳細な説明がなされました。今年は英国調の深いグリーンやグリーンのタータン、ロイヤルスチュアートが目立つそう。マダムエレガンスなワントーンカラーコーディネートやパウダリーなパステルカラー、また華やかで女らしいパープル・ボルドーなどもワントーンでまとめられていると述べられました。
続いて、建築や彫刻のようなフォルムの「スカルプチャー」や、シックできちんとした「セットアップ」がニュートレンドだと紹介。さまざまな作品の映像を見ながら、具体的にどの部分が新しいのかがわかりやすく説明されました。素材・柄は「一見地味に見えるが、よく見ると手が込んでいてゴージャスな素材が多い」と講評。正統派ツイードや一重仕立ての大きなフォルムの素材、大胆で装飾的な凹凸感のあるテクスチャー効果、羽根使いなどの特徴についても説明がありました。スタイリング・キーアイテム・デザインディテール、グッズなどについても同様に詳細な分析と説明が続き、前半は終了しました。
休憩をはさんで後半は、各ブランドのデザイナー交代などの現地情報とコレクション人気ランキングの紹介ではじまりました。デザイナーズコレクションの紹介は、まずミラノから−。スライドで実際の作品を見ながら、雪景色でスタートした「BLUGIRL」、さすらいへの憧れをテーマにした「GIORGIO ARMANI」はじめ、30のコレクションが紹介されました。
パリ・コレクションは、クラシカルフューチャーで洋服が構造物のような「BALENCIAGA」、すべて英国にルーツがあるもので構成された「STELLA McCARTNEY」、香水ボトルのイメージから抜け出し秋の木の葉の色が美しい「NINA RICCI」など、33コレクションが分析・紹介されました。
会場ではアパレルや専門店、百貨店など各企業のデザイナー・商品企画などを担当する参加者が熱心にメモをとり、セミナーからヨーロッパコレクションの傾向を来シーズンに生かそうという熱意が満々。3時間半では聞き足りないといった熱気を残しながらの閉会となりました。 |